2026/05/27 英語教育の潮流・トレンド
近年、中学校受験において「英語入試」や「国際コース」が急速に増えています。特に首都圏では、英検取得を出願条件や加点対象としている学校も増えており、「小学生のうちに英検3級以上を取得したい」というご相談をいただく機会が非常に増えました。
しかしその一方で、
「海外経験がないのに本当に取れるの?」
「英語塾に通わせれば自然に受かる?」
「受験勉強と両立できるの?」
と不安を感じる保護者の方も多くいらっしゃいます。
結論から言えば、海外経験がなくても、小学生のうちに英検3級以上を取得することは十分可能です。
そして、適切な積み上げを行えば、準2級・2級まで到達するお子さまも決して珍しくありません。
ただし、そのためには「英検対策を早く始める」のではなく、“英語との向き合い方”を段階的に育てていくことが非常に重要です。
今回は、中学受験を見据えながら、小学生が無理なく英検3級以上、さらには準2級・2級を目指すための考え方と学習ステップについてお話しします。
英検3級は「単なる暗記試験」ではない
まず理解しておきたいのは、英検3級は「中学卒業程度」とされるレベルだということです。
具体的には、
基本的な英文法
日常会話表現
自分の考えを短く伝える力
簡単な英作文
リスニング理解
など、“英語の総合力”が求められます。
特に3級からは二次試験(面接)が始まり、「読む・聞く」だけでなく「話す」力も必要になります。
つまり、単語帳だけを繰り返しても合格は難しく、
「英語を理解しながら使う経験」を小学生のうちから積み重ねていくことが大切なのです。
【受験前】小学生のうちに育てたい英語力
① まずは「英語に慣れる」ことが最優先
英検を急ぐあまり、最初から文法問題集ばかり進めてしまうケースがありますが、これは長続きしにくいことがあります。
特に海外経験のないお子さまの場合、最初に必要なのは「英語は怖くない」「分かると楽しい」という感覚です。
例えば、
フォニックスで音と文字を一致させる
簡単な英語絵本を音読する
短い会話を真似して言ってみる
英語でリアクションする
といった“英語を自然に使う体験”を積み重ねることで、後の伸び方が大きく変わります。
この段階では、「正確さ」よりも「英語を口に出す習慣」が重要です。
② 小学生の英検学習は「順番」が大切
英検3級以上を目指す上で、特に重要なのが学習順序です。
おすすめは以下の流れです。
Step1:音に慣れる
↓
Step2:読む力を育てる
↓
Step3:基本文法を理解する
↓
Step4:英作文・会話へ発展
この順番を飛ばしてしまうと、
単語は覚えているのに読めない
文法問題はできるのに話せない
英作文になると止まる
という状態になりやすくなります。
小学生のうちは、まず「英語を読める」「聞ける」状態を作ることが、その後の英検学習を大きく楽にしてくれます。
③ 英検5級・4級は“通過点”として考える
小学生で英検学習を始める場合、多くのお子さまは5級→4級→3級と進みます。
ただし重要なのは、「何年生で何級」よりも、“各級でどれだけ英語を使えるようになったか”です。
例えば4級合格後に、
短い文章を自力で読める
自己紹介ができる
簡単な質問に答えられる
状態になっているお子さまは、3級への伸びが非常にスムーズです。
逆に、暗記中心で進んでしまうと、3級から急に壁を感じるケースも少なくありません。
【受験期】中学受験と英語をどう両立する?
① 受験期は「維持する英語」に切り替える
中学受験学年になると、算数・国語・理科・社会の負担が大きくなります。
この時期に英語まで大量の宿題を課してしまうと、英語自体が嫌になってしまうことがあります。
そのため、受験期は「伸ばす」よりも「止めない」ことが重要です。
例えば、
週1〜2回英語に触れる
音読を継続する
リスニングを続ける
短時間でも英会話をする
など、“英語を忘れない環境”を維持することがポイントになります。
特に小学生は、英語から数か月離れるだけでも音感や発話感覚が落ちやすいため、細く長く継続することが非常に重要です。
英検準2級・2級を目指すために必要なこと
英検3級までは「英語の基礎力」を育てる段階ですが、準2級・2級になると、求められる力が大きく変わってきます。
特に重要になるのが、
長文読解力
自分の意見を論理的に伝える力
語彙力
英語を英語のまま理解する力
です。
つまり、“受験英語”だけではなく、「実際に使える英語力」が必要になってきます。
① 「英語を読む量」を増やす
準2級・2級を目指すお子さまに共通しているのは、英語を読むことへの抵抗が少ないことです。
例えば、
英語の物語
子ども向けニュース
英語多読教材
会話文中心の読み物
などを日常的に読む習慣があるお子さまは、長文読解に強くなります。
ここで重要なのは、「難しい文章を読む」ことではなく、“読める英語を大量に読む”ことです。
小学生のうちは、辞書を引きながら苦しんで読むよりも、「楽しく読める英語」を増やす方が、結果的に英語力が大きく伸びるケースが多く見られます。
② 「英語で考える」経験を増やす
準2級以上では英作文の難易度も上がります。
そのため、
“Do you agree?”
“Which do you like better?”
“Why do you think so?”
などに対して、自分の意見を英語で答える練習が非常に重要になります。
最初は短くても構いません。
例えば、
I like summer because I can swim.
のような簡単な文から始め、徐々に理由を増やしていくことで、論理的に英語を組み立てる力が育っていきます。
③ 「聞く・話す」を止めない
日本の英語学習では、どうしても「読む・書く」に偏りがちですが、準2級・2級ではリスニングの比重も大きくなります。
さらに、英語を実際に話す経験があるお子さまほど、
英文理解
語順感覚
英作文
が自然に伸びやすい傾向があります。
特に小学生のうちは、「英語を間違えることへの抵抗」がまだ少ない貴重な時期です。
この時期に、
英語で質問に答える
自分のことを話す
会話のキャッチボールをする
経験を積んでおくことで、将来的に“使える英語”へとつながっていきます。
英語は「早く始める」も大事。だけど「正しく積み上げる」ことがもっと大事。
保護者の方から、
「何年生から始めれば間に合いますか?」
というご質問をいただくことがあります。
もちろん早期スタートにはメリットがありますが、本当に大切なのは、“無理なく継続できる形”を作ることです。
英語は、一時的な詰め込みよりも、
音読習慣
会話経験
読書量
英語に触れる頻度
の積み重ねによって伸びていく科目です。
そして、小学生の時期は「英語を勉強として覚える」よりも、「英語を自然に使う」感覚を育てやすい黄金期でもあります。
海外経験がなくても、適切な順序で学習を積み重ねれば、英検3級、さらには準2級・2級まで十分に目指すことができます。
中学受験のためだけではなく、その先の高校・大学受験、さらには将来世界で使える英語力の土台として、“小学生の今”の学び方をぜひ大切にしていただければと思います。