英検準2級・2級が「合否を左右する資格」に——変わりつつある中学受験の英語事情

2025/10/21 英語教育の潮流・トレンド

ここ数年、中学受験における英語の存在感が急速に高まっています。


首都圏模試センターの最新データによると、2025年度入試で英語関連の入試方式(英語選択・英語資格利用など)を導入した学校は約140校にのぼり、これは首都圏の私立・国立中学の約4割にあたります。
かつて「帰国生やインター出身者のための特別入試」だった英語入試が、いまや一般入試の一角を占めるまでに拡大しているのです。

英検が得点に反映される3つの仕組み

英語資格を評価する方式は、大きく分けて次の3パターンがあります。

  1. みなし得点(換算方式)
     例として麴町学園女子では、英検準2級を100点満点として扱い、3級は80点、4級は70点に換算する明確な基準を設けています。
     英語試験を受けずに確定した得点を持ち込めるため、当日のリスクを減らすことができます。

  2. 英語試験の免除(満点換算)
     英検2級以上を取得していると英語を免除し、100点として計算する学校も複数あります。
     この場合、国語や算数に集中して受験に臨める点が大きなメリットです。

  3. 加点方式(ボーナス点)
     佼成学園女子のように、取得級に応じて学科試験に加点する学校もあります。
     4級で+5点、3級で+10点、準2級で+15点、2級以上で+20点といった明快な基準を示しており、資格取得がそのまま合否差につながる設計です。

 

「準2級で評価ライン」「2級でアドバンテージ」

全体を俯瞰すると、準2級を評価の基準ライン2級をアドバンテージとして扱う学校が明確に増えています。
たとえば創価中では準2級を80点、2級以上を100点に換算、十文字中では準2級90点・2級以上100点といった具体例があり、**2級が“実質的な満点”**として機能していることがわかります。

難関校も導入——スコアでの評価へ

近年は難関校でも英語資格の扱いがより精緻化しています。
豊島岡女子学園は2025年度入試から「算数・英語資格入試」を導入し、英検級とCSEスコアを基準にみなし得点を設定。
つまり、単なる級の有無ではなく、スコア(実力値)で評価する時代に入ったといえます。

学校と受験生、双方にメリット

  • 学校側の目的
    英語力に強みを持つ生徒を正当に評価し、国際系コースやIBカリキュラムなどへの接続を意識しています。
    英語資格の導入は、学校の多様化と国際教育推進の両面で有効な施策となっています。

  • 受験生側の利点
    英語を“第3の得点源”として活用できるのが最大の魅力です。
    特に準2級を夏までに、2級を秋までに取得しておけば、出願時点で有利な得点設定を確定させることが可能です。

 

タイムライン戦略:小6秋が勝負

英検の年内実施回(本会場)を活用すれば、小6秋までに準2級・2級を確定し、出願前にみなし点や加点の対象資格を得ることができます。
ただし、多くの学校は「出願時点で合格証明が提出できること」を条件としているため、受験日と結果発表のタイミングには注意が必要です。

注意すべきポイント

  1. 学校ごとの制度差が大きい
     同じ「2級」でも、100点換算、加点、または免除など、扱いはまったく異なります。
     志望校の最新の募集要項を必ず確認しましょう。

  2. 併用ルールや上限の存在
     「英語免除だが理社の得点が高ければそちらを採用」といった柔軟な制度もあります。
     制度の読み違いが“取りこぼし”につながることも。

  3. スコア提出が必要な学校も
     CEFRやCSEスコアを求めるケースもあり、級だけではなくスコア証明書の提出可否まで確認が必要です。

 

今後の「最低ライン」と学習設計

現在の傾向を見る限り、準2級は評価ライン、2級は実利のある資格として位置づけられています。
小学生で2級を取得していれば、実際に満点換算や大幅加点の恩恵を受けるケースが増えています。

そのためには、

  • 英語の4技能(特にリスニングとライティング)を早期に強化し、

  • 6年生夏までに準2級、秋までに2級取得を目標に逆算学習を進めるのが現実的です。

ただし、英語で得点を稼げるようになっても、国算の基礎を軽視しないことが大切です。資格点でカバーできない「思考系問題」こそ、合否の鍵を握ります。

まとめ

  • 英語資格活用校は2025年度で約140校。一般入試でも英語資格が定着。

  • 準2級=評価ライン、2級=実利のある資格として扱う学校が多数。

  • スコア提出型(CSE・CEFR)の導入も進み、より精緻な評価へ。

今後の戦略としては、「小6夏までに準2級」「秋までに2級確定」を目安に、
志望校の方式(みなし点・免除・加点)をもとに最適な教科配点を設計することがポイントです。

制度は毎年更新されるため、出願前には各校の最新要項を必ず確認し、外部検定を“資格”ではなく“得点戦略の一部”として活用することが重要です。

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